潜水服は蝶の夢を見る [映画]
★★★★★★★☆☆☆
http://www.chou-no-yume.com/ (潜水服は蝶の夢を見る 公式サイト)
「潜水服は蝶の夢を見る」。
観てまいりました。
これは”感動作”なんでしょうか。
”感動作”と言ってしまってもいいんでしょうか。
いや、別に、違いますよ、
「こんなもんで感動できるかいっ(´д`)」
…みたいな、そんな事を言ってるんじゃないんですよ。
ただ、ちょっとその、
いわゆる”感動作”とか、”泣ける映画”だとか。
そういう風な言葉で、この映画を語ることに、
多少の違和感を感じる筆者がここにいますよ、という事でして。
いやね、というのも、さっき公式サイトを見たらですね、
そこの部分を凄くプッシュした感じの造りになってたもんですから。
Enter the Siteのボタンを押したら、いきなり…
「おすぎですっ。
映画「潜水服は蝶の夢を見る」のスタッフ・キャストに最大の敬意を表しますっ。
この映画を観て感動しない人が一万人以上いたら、
私は映画評論家を辞めますっ。」
…こういう事を言われたわけですから。
いや、別に、この発言がおかしいとか、
おすぎさんがこう感じたのをおかしいとか言ってるわけでは決してないんですよね。
大いに感動して、泣いてもらって結構なわけですよ。
ただ、自分的には、この映画を観てそうは感じなかった。
もう、ぶっちゃけて言うと感動はしなかったですよね。
”ファッション誌「エル」の編集長として活躍する人生から一転、
脳梗塞で左目のまぶた以外の自由が効かなくなってしまった男の実話を映画化。
原作は主人公のジャン=ドミニック・ボビー自身が、
20万回のまばたきでつづった自伝小説。
シリアスな展開の中に温かいユーモアが味わえる一方、
独特の映像美も堪能できる感動の実話。”
そういう事ですよね。
脳梗塞により全身が麻痺してしまって、
左目以外を動かす事ができなくなってしまった。
しかし、意識だけははっきりしているため、全てを理解できる。
まるで、自由の利かない身体に意識だけ閉じ込められたかのような状態から、
ロックト・インシンドロームと呼ばれるそうな。
で、↑にも書いてますが、この映画は、
そんな想像もできないような苦しみの中で、
20万回のまばたきによる言葉のコミュニケーションによって自伝を書き上げた、
ジャン=ドミニック・ボビーという人の物語であります。
まず、この、内容はとりあえず置いておいてですね、
誰もが感じるであろうこの映画の面白いところは、その撮り方ですよね。
撮り方というか観せ方というか。
映画の冒頭から、このジャン・ドー自身の目線、
左目しか動かないというその一人称目線で描かれると。
ま、全部ではないんですけど映画の大半が。
だからもう、ほんとに、疑似体験のような。
そんな感じですよね。
で、また、実際のジャン・ドーは喋る事はできないんですけど、
しかし、その心の声は常に喋っている。
常にその心の声はこちらには聴こえてくる。
もう、そういう状態になってしまった悲しみの声、嘆きの声から、
それこそどうでもいいような…ま、本人にとってはどうでもよくないんでしょうけど、
愚痴のようなもの。
それから、エロ親父目線でのつぶやきまで。
なので、そういうような声が常に聴こえてくるので、
序盤の方ではそこまで、それこそ可哀想だとか、
そういったような事を感じる事は、さほどないのかもしれませんね。
ただ、それが時間が経つにつれて、次第に客観視点になってくる。
そうすると、ジャン・ドーの実際の姿が見えてくる。
そうなると、そのジャン・ドーの置かれた状況というのが現実として見えてくる。
そこで感じるのが、やっぱり正直に怖さですよね。
本当に誰もがいつ、こうなるかわからない。
ジャン・ドーのように、いつ心が閉じ込められるかもわからない。
自分の思うままに動く事も話す事も人に触れることもできない。
まるで、潜水服を着せられたまま、海の底に沈められたかのように。
そう、そこが本当に怖いなと。
その怖さみたいなのは凄くよく伝わって来ましたよね。
だから、冒頭でも言いましたけども、自分が思うに、
この映画の伝えたいとこってそこなんじゃないかなと。
思ったんですよね。
と言っても。
別に、本当にその怖さだけを伝えたいんじゃなくて、
ま、ありきたりな表現になりますし、ずばりそのものだと監督さんも言ってますが、
つまり”生”ですよね。
その”生”というものに対する、
このジャン=ドミニック・ボビーなりにたどり着いた結論を。
答えを。
それを、この監督さんが解釈した形でこういう風に表現して、
で、これも原作は読んでないんですけども、そういうものを伝えたかったんじゃないかと。
このジャン=ドミニック・ボビーという人は。
この本を通して。
自分は、そういう風に感じましたけどね。
いや、俺もまさかこんな事になるとは思ってなかったけど。
でも、こうなってしまったからこそ、色々と解る事もあったよ、と。
もうちょっと、ちゃんとしておくべき事は色々あったよ、と。
お前らもいつそうなるか分からんから、気をつけろよ、と。
気をつけて生きろよ、と。
なんか、そういう事のように思いましたねぇ。
私は。
いや、だからですね、なぁんか…、
その”感動”とか”泣く”とかいう言葉に凄く違和感を感じてしまうんですよね…。
たぶん、そういう風な感じではこの監督さんも作ってないと思うんですよ。
この人の人生、感動するでしょ?…みたいな感じには。
この人、こんな身体なのに凄いでしょ、的には。
で、恐らくですが、原作もそういう感じではないんでしょうから。
本当に、俺の人生はこんな感じだったぜ、と。
お前らも、この本読んでちょっとはそういうのに備えておけよ、みたいな。
ま、言っちゃえば、それくらいの感じなんじゃないかな、と思ってしまうんですよね。
うーん。
いや、でも、これは何回も言いますが、
別に、人がこの映画を観て感動しても泣いても全然構わないんですよ(爆)
そこはもう、自分がどうこういう筋合いのものでも何でもないですから(爆)
ただ、なんかそういう風な目で、
そういう風な先入観を持って、この映画を観るというのはどうなんだろうな、と。
ちょっと、思ってしまった次第なんですよね。
うん。
もちろん、その、
ジャン=ドミニック・ボビーという人や、その周りの人の努力、誠意、優しさ。
まばたきだけで言葉を伝えて、この本を書き上げて、そして、最期まで生き抜いたと。
そこの部分はもう、自分が敢えて「凄いですよね~」とか書かなくても良いでしょうし。
そんな事イチイチ書かなくても分かるでしょうし。
そういう部分では否定も何もできる事ではないですからね。
そこはもう、”生き様”として受け止めるしかないですよね。
こちらは。
ね。
本当は、この映画の主役、
ジャン=ドミニック・ボビーはジョニー・デップが演じるはずだったと。
いう事なんですが。
うーん、単純な興味として観てみたかったですよねぇ。
そちらもね。
ね。
個人的には、あの、
劇中で流れる”ドント・キス・ミー・グッバイ”という曲が好きです。
好きでした。
公式サイトでも流れてる曲ですね。
音楽は良かったですね、凄く。
監督さんのチョイスのセンスの良さが伺えるところですけども。
ですね。
ま、良い映画でしたよ。
決して、観て損をする映画ではない事は保障しますよ。
でも、本当に自分みたいな人間が一万人名乗りを挙げたら、
おすぎさんは評論家を辞めてしまうんでしょうか(爆)
そこがちょっと気がかりなわけですけども。
一万人くらいなら無きにしも非ずのような気もしてしまうんですけども(爆)
…ま、でも、一万人が名乗りを挙げる事が無いですからね。
まず。
そこはまぁ…ちゃんと安全は確保してますよね。
そこはね。
はい、というわけでございました、「潜水服は蝶の夢を見る」。
★7個で!
次回は!
…3月まで面白そうなのないなぁ…(´д`)
ですよねぇ。
これは困っちゃうなぁ…(´д`)
…と、思っていたら。
「ライラの冒険」が先行特別上映とやらで土曜日から公開じゃないですか(´д`)
なんというグッドタイミング(´д`)
というか、普通そうするわな、このスケジュールじゃ…(笑)
じゃ、これ行きますよ、これ。
「ライラの冒険」。
ま、いわゆるハリウッド大作ファンタジー映画ですよね。
そこはやっぱり、とりあえず観てみますよ。
でも、最近こういう映画にはちょっと厳しいですからねぇ、自分。
そこはやっぱり、しっかりと。
見定めておきたいなと思いますよね。
ええ。
じゃ、そんなわけで、また気が向いたら覗いてみてください。
サヨウナラ(´・ω・`)ノシ
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コメント
1万人キャンペーン?に署名します。
あと9998人ですw
良い映画だったんですけどね。
それは分かるんです。
でも、合いませんでした。
とても残念です。
投稿: あるきりおん | 2008年2月21日 (木) 23時13分
あるきりおんさん、
キャンペーン参加、ありがとうございます~!(?)_(._.)_
いや、これは一万人いますよね…(笑)
全然いると思いますけどねぇ。
そう、良い映画なんですけど、
誰もが誰も”感動”する、できる映画では決してないですよ。
あるきりおんさんが合わなかったというのも凄く分かりますしね。
あと、なんか自分もそうなっちゃいそうというのも…(爆)
幸い、自分はこの映画ではなかったですけど、
でも他の作品を観ててそう感じる事ありますからね…(爆)
で、観てるほうもそうなんですけど、
演じる人もそうならないのかなっていっつも思うんですけど…(´д`)
投稿: Sur | 2008年2月23日 (土) 19時28分