ラストキング・オブ・スコットランド [映画]
★★★★★★★★★★
http://movies.foxjapan.com/lastking/
(ラストキング・オブ・スコットランド 公式サイト)
「ラストキング・オブ・スコットランド」。
池袋新文芸坐にて観てまりました。
以前に、雑誌でこの映画の事を見たんですが公開当時には観れず、
最近になって新文芸坐にて上映するとの情報をキャッチ致しまして、
何はともあれ、これは観に行かいでか、と。
そんな「ラストキング・オブ・スコットランド」なんですけども。
しかし、この映画…
映画としてはかなり完璧に近い完成度なんじゃございませんでしょうか。
アタクシ、そんな風に思いました。
うーん、これは面白かったなぁ~~、観にいってよかった!
これはちょっと非の打ち所がないというか、
「ここはもうちょっとこうで…こうした方が…」みたいな事を考える余地がない、
というか、そんな事を考える暇がないほどのめり込んで観てましたね。
”医大を卒業したスコットランド人青年ニコラス・ギャリガン(ジェームズ・マカヴォイ)。
冒険心に動かされ国を出ることを決意し、
国情をよく知らないままアフリカ東部のウガンダに渡る。
そのウガンダでは軍によるクーデターで、
イディ・アミン(フォレスト・ウィテカー)が大統領になったところだった。
ある日、滞在先の村の付近でイディ・アミンが演説を行うことを知ったニコラスは、
先輩医師の妻サラと共にその演説会場を訪れる。
そこで見た新しきウガンダの指導者、イディ・アミンにひどく感銘を受けるニコラス。
そして、演説会場をあとにしたニコラスとサラのもとに、
軍関係者が血相を変えてやってくる。
「大統領が怪我をしたので診てほしい」と─。”
(ラストキング・オブ・スコットランド wikipediaより50%くらいサンプリング)
…まぁ、最後そんなに強調するような台詞でもないですけど(爆)
とはいえ、これが”全ての始まり”ですからね。
重要といえば重要な部分ではあります。
そんな、1970年代のウガンダに実在した”独裁者”イディ・アミンの実像に迫ると共に、
その”独裁者”に魅入られ、近づきすぎた、
こちらは”架空”の若きスコットランド人医師ニコラス・ギャリガンの苦悩と葛藤、
そして恐怖を描いた、事実を基に創られたサスペンス…という感じですね。
で、この映画の何がいいかっていうと、
人物の描き方が非常に上手いんですねぇ。
描き方というか、役者さんの演技力による部分も大いにあると思うんですが。
とにかく、このアミンとニコラス。
その物語のメインとなる二人の人物像が明確に伝わってくるので、
感情移入しやすく内容にもスムーズに入っていける所に特徴があると思います。
最初、雑誌でこの映画の記事を読んだ時に、
”アフリカの実在した残虐な独裁者の物語”
…みたいな事が書かれていたように記憶してたんですね。
で、そんな感じのキーワードに弱い自分としては是非観てみたいなと。
なので、観る前は”そっち方向”の期待がかなりあって観始めたんですが、
映画が始まって1時間くらい経ちましたかね…?
全然”そっち方向”に話が行かないんです。
ものっすごいいいおっちゃんなんですよ、このアミンが。
庶民の味方で頼もしい、ニコラスにも非常に友好的でザックバランな、
まさに、”ウガンダの未来を背負った素晴らしき指導者”的な。
なので、(あれ…前読んだのってこの映画の事じゃなかったのかな…?(´д`))
…なんて事を、さすがに1時間近くも経つと思い始めたんですよ。
もう、そこまで、
”大統領と若き熱血医師の心の交流を描いたほのぼのムービー”
て言っちゃてもいいくらいの内容でしたから…(笑)
ま、でも、だからといってそこで、
ガッカリだ…とか期待はずれ…だとかは全く思わなかったですねぇ。
というのは先ほど言いました、この二人が非常に魅力的に描かれていて、
映画としても全然退屈してないからなんです。
ほんと、イケメンで好感の持てる若いさわやかドクターだし、
大統領のおっちゃんも気さくだし。
「ウガンダ盛り上げていこうぜ!」
みたいな気にもなってしまいますよ、こっちも。
そんな、ある日。
とある事件が起きてしまいます。
”大統領暗殺未遂事件”が。
前大統領を支持する反対派によって引き起こされた、この暗殺事件。
からくも命をとられることはなかったものの、しかし、この事件が引き金となって
アミンの”独裁者”としての牙が次第に剥き出しになっていきます。
そして、これも”独裁者”ゆえのサガと言うんでしょうか、
自分以外の人間全てを信用できなくなっていくんですね。
しまいには、最大の理解者であるはずのニコラスでさえも…。
崩れ行く二人の信頼関係。
この辺りの、前半とはうってかわった展開の変化に戸惑いつつも、
自分にとっては期待していた展開ですから、当然引き込まれていくわけです。
で、やっぱりここでも、
徐々に”独裁者”へと変貌していく過程の描き方が上手いんですねぇ。
演出とか役者さんとか。
人間不信や、さらには悪化していく国際情勢によって起こるテンパリ感みたいな、
そういったものが演技からも凄く良く伝わってきました。
そしてそう、このアミンを演じているフォレスト・ウィテカーという人の目。
これは、別に元々こういう目の人なんだろうし、
ちょっと失礼な言い方になるかもしれませんが、左右で少し大きさが違うんですね…。
で、その目が凄く怖いんです…(;´д⊂)
いや、ほんと失礼なことなんですが…(;´д⊂)
でも、コマシャクレタ言い方をすれば、その左右の異なる目が、
このイディ・アミンの持つ二面性を良く表す手助けにもなってる…とも感じました。
片方は笑ってるけど、片方は笑ってない…みたいな…。
そして、ニコラスに至っても、
自分の置かれた立場を理解せず犯した”過ち”に苦悩する姿や、
戻る事のできない道へ進んでしまった”絶望感”もアミン同様良く伝わってきました。
そんな最中、大統領の第三(?)夫人ケイとの
”危険な情事”に溺れるニコラス。
アミンの目を盗んでは密会を重ねる二人。
やがて、ケイはニコラスの子を身ごもる…。
しかし、大統領にこの事を知られては命が無いと恐れたケイは、
秘密裏に村の産婆に子をおろさせようとするも失敗し、病院に運ばれ、
結果としてその”裏切り”はアミンの耳に入ることになる…。
…もう、ここですよねぇ…、この映画の全ては。
このケイの”裏切り”に対する報復として科したアミンの行為。
これがもう、とてもじゃないけど文章にはできませんけども…(笑)
凍りつきましたね、ピッキーーーン…って(;´д⊂)
でも、映画的にはあの1カットでこのイディ・アミンという人物が持つ、
狂気、残虐性、人間に対する猜疑心…
そういったものを全て表現してしまうという素晴らしいシーンではないかと。
思うんですね。
いや、別にあの行為自体を認めてるわけじゃないですよ…(;´д⊂)
もう、思い出すのも怖いもの…(;´д⊂)
そして、ここからラストへのサスペンスな展開も、
目を離せない緊迫した雰囲気で、まさにもうハラハラドキドキでした。
あとあの、クライマックスの空港のシーンからエンディングまでが短かったのも、
個人的には高評価ですね。
あそこからまた”その後”みたいな展開になっても、ダレルだけだと思うので。
…というわけでですね、
冒頭でも言いましたが、非の打ち所が全く無い。
2時間という時間の使い方がもう完璧やね。(M1の島田紳助風)
そんな映画でした。
期待を裏切って、またそこから良い意味で裏切られて…
そして、予想していた以上の衝撃を観ている者に与える…という。
いやぁ、とにかく面白かったです、「ラストキング・オブ・スコットランド」。
★10点満点で!!
…ところで、ここも初めて行ったんですが、いいですね新文芸坐って映画館も。
ほんと昔ながらの映画館って感じで…(笑)
まぁ、ただ平日昼間に行ったせいかどうかわかりませんが、
平均年齢が異様に高かった点もちょっと面白かったですけども。
恐らく67歳くらいはあったと思いますね、平均。
自分がいなかったら69くらいだと思います。
で、予告編で今度「フラガール」をやるとか言ってたんで、
こちらも是非観に行こうかなぁと思う所でございます(´・ω・`)
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